子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えていた日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

学習3ヶ月目から

わにさんどきっ はいしゃさんどきっ

『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』 五味太郎 作・絵(偕成社) 気弱な歯医者さんと、同じく気弱な患者のワニさんが、ともに勇気を出して歯の治療に取り組むお話です。 未習の表現もいくつかありますが、たとえば、『みえこさんのにほんご』をテキストと…

レベル別 日本語多読ライブラリー

『レベル別 日本語多読ライブラリー レベル1 vol.3』 NPO多言語多読 (アスク出版) 2023 リンク 日本語学習者のための読み物教材シリーズです。レベル0からレベル4まであり、学習者の日本語レベルに応じて語彙や文法が制限されて文章が作られているので、…

らくちんらくちん

『らくちんらくちん』 高畠純 (アリス館) 2009 リンク 「らくちん」という言葉が繰り返され、様々な動物が表紙のように楽して運ばれる様や、リラックスする様が描かれます。 ストーリーらしいものはないですが、授業の冒頭や、ちょっと時間が余ったとなど…

おかあさんのパンツ

『おかあさんのパンツ』 山岡ひかる 作 (絵本館) 2005 お尻に可愛いさくらんぼの絵がついた女の子のパンツ。これを、お母さんが履いたら…? 「ゴロンゴローン! りんごになった!」 パンツが伸びて、りんごになってしまいました。 お次はねずみさんの絵の…

おとどけものです。

『おとどけものです。』 ロッド・キャンベル 作 (あすなろ書房) 2019 リンク ペットを送ってほしいと動物園にお手紙を書いたところ、とても重い木箱が届きました。わあ、ゾウだ! ペットにするには大きすぎます! 木箱から動物の姿が現れる様が可愛らしい…

かがみのえほん きょうのおやつは

『かがみのえほん きょうのおやつは』 わたなべちなつ 作 (福音館書店) おやつを作る様子が描かれているだけですが、大変ライブ感があります。 本を開くと、左側のページは、背景が鏡のようになっています。その左ページを90度に立てると、そこに右側の絵…

かえましてん

『かえましてん』 べかたろう 著 (KADOKAWA) 2023 リンク 表紙の果物はなんでしょう? もものようにも、りんごのようにもみえます。どっちでしょう? また、ケーキやウインナーも登場します。上から見ると、どう見えるでしょう? 切ってくっつけると、どう…

おどってる こまってる

『おどってる こまってる』 高畠那生 作・絵 (フレーベル館) 2023 踊っている人と困っている人が交互に出てくる愉快な絵本です。文体もリズミカルで、読んでいると、つい踊りたくなってしまう楽しさです。 現在進行形の「~ている」の用法が何度も出てきま…

りんごがころん

『りんごがころん』 中川ひろたか・文/奥田高文・写真 リンク タイトルのとおり、りんごがころんと転がったり、 かさがぱっと開いたりするだけのシンプルな絵本です。 ただ、オノマトペの楽しさが子供にはよく伝わるようで、きゃっきゃと喜んでくれます。 …

すきになったら

『すきになったら』 ヒグチユウコ 作 (ブロンズ新社) 2016 ワニを好きになった女の子の気持ちが、詩的にしっとり語られます。 「好きになったら、知りたくなる」「温かくなる」といった調子で、「~になる」「~くなる」の表現が繰り返されるので、授業で…

たびにでよう

『たびにでよう』 降矢なな 作 (童心社) 1992 男の子が不思議な旅をするお話です。 文章は、冒頭と最後のみで、「たびにでよう」「いこう」「のもう」など、意向形が学べます。 作者は中欧のスロヴァキア共和国に在住されているようで、この本もそのテイス…

ほんとかな ほんとかな

『ほんとかな ほんとかな』 多田ヒロシ 作 (1979) こぐま社 子豚のぶうちゃんと、子ウサギのぴょんちゃんの絵本のシリーズの一冊です。 ぶうちゃんは木登りができるかな? ぴょんちゃんはサッカーができるかな? わあ、上手にできる…と思ってページを…

わたしの て

『わたしの て』 ジーン・ホルゼンターラー 文/ナンシー・タフリ 絵/はるみこうへい 訳 (児童館出版)2002 私達の手は、普段いろんなことに使われます。ボタンを留めたり、ファスナーをしめたり、靴の紐を結んだり……。 日常のいろんな手の動作を絵で分か…

みち

『みち』 五味太郎 作 (福音館書店) 1973 以前、三浦太郎さんの『みち』(あすなろ書房)を紹介しましたが、こちらも、狭い道や広い道、一本道や分かれ道など、いろんな道が出てきてちょっと似ています。初級の子に分かりやすく、お勧めです。 五味太郎さ…

せかいでいちばんおおきなネコ

『せかいでいちばんおおきなネコ』 風木一人 作/ひろかわさえこ 絵(絵本塾出版)2022 リンク 世界で一番おおきな猫はどのくらい大きいのでしょう? 犬くらいでしょうか? ライオンくらいでしょうか? 「〇〇くらい?」「もっともっと」という表現が繰り返…

どっちがピンチ?

『どっちがピンチ?』 いわいとしお 著 (紀伊國屋書店) 2006 リンク ”ピンチ”という言葉がまずあまり初期で習わない単語なので、本書を読み聞かせる前に絵カード等で「危ないことの意である」と伝えた方が良さそうです。私は、『大ピンチずかん』(小学館…

おうさまがかえってくる100びょうまえ!

おうさまがかえってくる100びょうまえ!』 柏原佳世子 作 (えほんの杜) 2021 日本語では、二けたの数字を言うときは、十の位を先に言って、一の位を言いますよね。しかし、母語が逆なのか、三か月たっても、「60」を「じゅうろく」などと言い間違い続…

みち

『みち』 三浦太郎 (あすなろ書房) 2022 リンク 坂道、下り道、でこぼこ道、雪道、砂漠道、寄り道、迷い道…。 いろんな道が出てきます。 これだけ繰り返し「道」という言葉が出てくれば、とりあえずその言葉だけは覚えるだろうと思って読み聞かせるのです…

てんてんきょうだい

『てんてんきょうだい』 田口慶太 著/田口麻由 絵 (ポプラ社) 2023 リンク どんな言葉にも“てんてん(濁点)”を付けたがる、てんてん兄弟のお話です。 まずは「か(蚊)」です。 「か」に“てんてん”を付けたら、「が(蛾)」ですね。 同じ調子で、「はね…

言葉図鑑 7 たとえのことば

『言葉図鑑 7 たとえのことば』 五味太郎 監修・制作 (偕成社) 1987 リンク 『言葉図鑑』は全10巻あるようです。このシリーズは、『絵本でおしえるにほんご』(スリーエーネットワーク刊)でも紹介されているのですが、一冊一冊については記載がないの…

これ あな

『これ あな』 みやにしたつや 作・絵 (鈴木出版) 2017 いろんな穴が出てきます。 蜂の巣や、火山の火口や、50円玉の穴、クジラの鼻孔……。 「これは何の穴かな? 分かる人」 と尋ねると、子供達が我先にと手を挙げてくれます。 全員が同時に手を挙げたりす…

ケーキになあれ!

『ケーキになあれ!』 ふじもとのりこ 作 (BL出版) 2014 アップルパイやロールケーキ、オレンジタルトなど、美味しそうなケーキが次々に登場します。 語彙学習としては、果物やケーキの名前が覚えられ、ごく初期の学習者にも学びがあります。また、命令形…

ゆげ ゆげ~

『ゆげ ゆげ~』 さいとうしのぶ 作・絵 (教育画劇) 2019 本年もよろしくお願いします。 いろいろあって、少しお休みしておりましたが、またブログを更新していきたいと思います。 朝ご飯のお味噌汁やご飯から、もわもわと愉快な湯気が立ちます。給食のス…

まほうのえのぐ

「まほうのえのぐ」 林明子 作・絵 (福音館書店) 1997 先日、授業の時間が余って、「これ、よんで」と子供たちに乞われて本書を読みました。 最初、断りました。ストーリーもので、文章も日本語学習を始めたばかりの子には理解できません。日本語レベルが…

これ だれの?

「これ だれの?」 みやこしあきこ 作 (ブロンズ新社) 2013 鋏や植木鉢、花、エプロン、じょうろ、スコップ、長靴などが見開きで現われます。 さて、この持ち物は、誰のだろう? 「これ、誰の? 何の仕事してる人?」 と子供に尋ねます。 「花屋さん!」 …

がっこうに まにあわない

『がっこうに まにあわない』 ザ・キャビンカンパニー 作・絵 (あかね書房) 2022 リンク 手に汗握る、ハラハラするストーリーです。寝坊した男の子は学校に間に合うのでしょうか。猛ダッシュです。犬や水たまりや歩道橋が行く手を阻みます。 内容も面白い…

まだまだ まだまだ

『まだまだ まだまだ』 五味太郎 作・絵 (偕成社) 2021 男の子が、学校の徒競走でゴールするだけでは満足せず、校外までずっと走り続けるお話です。タイトルは、「まだまだ、終わりません。走ります」という意味の「まだ」です。 「まだ」という表現は、子…