子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

やさい もぐもぐ

『やさい もぐもぐ』 ふくざわ ゆみこ 作・絵 (ひかりのくに) 2010

 

 

はち切れんばかりに瑞々しい新鮮なトマトが登場します。

次のページを開くと、多彩なトマト料理が並び、

「ど・れ・が・す・き?」

と読者に尋ねてきます。

お次はとうもろこし。その次は、じゃがいも。その次は…?

どれが好き? と何度も子供に尋ねることができるので、疑問詞「どれ」の授業に最適です。メジャーな野菜の名前もついでに覚えられます。

できれば、子供から指導者側へも、「どれが好き?」と問いかけさせて、「どれ」の表現をよりしっかり身につけさせたいですね

 

★主に出てくる文型・ことば

-どれ

どこが ながいか わかる?

『どこが ながいか わかる?』 みやにし たつや 作・絵 (金の星社) 2018

 

どこが ながいか わかる?

 

いろんな動物が、「ぼく○○。どこが ながいか わかる?」と、自分の体の部位のどこが長いか、読者に尋ねてくる絵本です。

「疑問詞+普通形‐か~」という、疑問文を組み込んだ文型を後々、授業で扱わないといけなかったので、先日、その下準備としてその児童に読んでやりました。

最初のページはキリンさんのお顔が現れます。

「どこが長い? どこが長いか分かる?」

と私がその子に問うと、その子は「首」という日本語が出てこず、自分の首を指しました。

「そうだね、首だね」

と頷いて次のページを開くと、「ぐいーーーーーーーーーーーーん」と長いキリンさんの首が見開きで現われました。

「おー。長いねー。長過ぎるねー」

と私が驚いて思わずつぶやいたところ、子供も真似して、その後に登場したゾウの鼻やネズミの尻尾にも、

「ながいー! ながすぎるー!」

と反応してくれました。

その後に登場したクラゲの脚も長かったのですが、私が

「これも長過ぎるねー」

と同意を促すと、その子は首を振りました。

「え、長過ぎない? こんなに長いの、海にいるの?」

「いるよ」

「そうなんだー」

と、未習の表現「~すぎる」も、しっかり理解してくれた様子で、思わぬ収穫でした。

 

「疑問詞+普通形‐か~」の文型の授業には、以前紹介した、同作者さんの『ぼく なにを たべてたかわかる?』もお勧めです。

 

★主に出てくる文型・ことば

(疑問詞)~か

オノマトペ

 

はしをつくる

『はしをつくる』 ライアン・アン・ハンター 文/エドワード・ミラー 絵/青山南 訳 (ほるぷ出版) 2013

 

はしをつくる

 

アーチ橋、つり橋、丸太橋、はね橋…。

橋の歴史と多様な橋が、子供用にごく簡単にまとめられている絵本です。

授業初めのアイスブレイクや、授業中の箸休めなどに良いです。日本語の日常会話はマスター済みの児童に。

ぼくはちっともねむくない

『ぼくはちっともねむくない』 クリス・ホートン 作/木坂 涼 訳 (BL出版) 2016

 

 

日が暮れて、森の動物たちはみんな眠くなりました。

ねずみさんも、うさぎさんも、しかさんも、くまのおかあさんも…。

でも、こぐまだけは「ねむくない」と言って出かけます。

「あそぼうよ」とねずみさんたちに声をかけていたこぐまですが、やがて自分も眠くなってきて…。

 

意向形や、「イ形容詞+くなる」の文法を学んだ後に読むと、色んな文型の予習復習になりそうです。

 

★出てくる主な文型・ことば

A‐くない

A‐くなります(なった)

V‐て形+います

意向形

地震がきたらどうすればいいの?

地震がきたらどうすればいいの?』 あかぎ かんこ 作/mitty 絵 (埼玉福祉会) 2017

 

(2016-0504) 埼玉福祉会 SAIFUKU 「地震がきたらどうすればいいの?」 /やさしくよめる本-LLブック

 

表紙を見せながら、タイトルを読み上げると、子供達が「外に出る!」「机の下!」などと口々に応えてくれます。本の学校にしばらく通えば、避難訓練の授業が度々あるので、子供達もそういうものだと覚えているようです。

しかし、

「そうですね。でも、どうして外に出ますか?」

と尋ねると、子供は案外分かっていなかったりします。

 

こちらの本は、以前紹介した『ぶんぶくちゃがま』同様、日本語が少々不得手な外国人児童にも理解できる仕様となっています。登場する多くの表現の意味を、ピクトグラムで示してくれているので、

「『たおれる』って何?」

「『つかむ』って何?」

などと子供に訊かれても、説明が楽で教える側としても大変ありがたいです。

皆がいるときはまだいいけど、一人でトイレにいるときに、地震がきたらどうする?

道を歩いているときに地震がきたら?

この本を読むことで、日本語学習だけでなく、外国人児童が地震国日本に住む上での備えにもなり、お勧めです。

 

とんとん どんどん

『とんとん どんどん』 中川ひろたか 文/村上康成 絵 (PHP研究所) 2003

 

 

おばあさんが、ゴリラの肩を叩きます。「かたを とんとん」

おばあさんとゴリラが、自分の胸を叩きます。「むねを どんどん」

一羽のペンギンが歩きます。「そうっと そろそろ」

沢山のペンギンが歩きます。「みんなで ぞろぞろ」

 

同じような行為でも、程度が甚だしい時は濁点がつくのかな、と子供にも見当がつきます。

初中級レベル以上で、ある程度、オノマトペを聞き慣れているが、使いこなすまでには至っていない、というような子にお勧めの絵本です。

オノマトペの学習プリントの前に読み聞かせたり、読み聞かせの後、オノマトペを使った文を作る活動をしたりすると、より言葉の定着が図れそうです。

 

ねえ、どれが いい?

『ねえ、どれが いい?』 ジョン・バーニンガム 作/まつかわ まゆみ 訳 (評論社) 2010

 

ねえ、どれがいい? 改訳新版

 

「もしもだよ、」

と始まります。

「きみんちの まわりが かわるとしたら、こうずいと、おおゆきと、ジャングルと、ねえ、どれが いい?」

私が読み聞かせた南国出身のある子供は、洪水とジャングルは経験あるからということで、大雪を選びました。

次の選択は、「ゾウにお風呂のお湯を飲まれる・ワシにご飯を食べられる・豚に服を着られる・カバにベッドを取られる」の中から選びます。

「ねえ、どれが いい?」

 

子供達に難しい選択を次々に迫る絵本です。できればどの選択肢も選びたくない、いわゆる「究極の選択」です。

「ねえ、どれがいい? へびに まかれるのと、魚に のまれるのと、わにに たべられるのと、サイの したじきと。」

子供達に問うと、

「全部死ぬよ!」

「サイのは生きてるかも!」

「ナイフ持ってたら、魚にのまれても大丈夫!」

など、1年生から6年生まで盛り上がって真剣に考えてくれます。

ストーリーものではないので、読み聞かせの途中で授業終了のチャイムが鳴っても、「じゃあ、ここまでね」と終わらせられます。読み聞かせる時間があるかどうか気にせず、読み始められ、面白いのに、途中であっさり切り上げられる、なかなかない一冊です。