子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

あきらがあけてあげるから

『あきらがあけてあげるから』 ヨシタケシンスケ 作・絵 (PHP研究所) 2021

 

 

まだ小さいあきら君は、お菓子の袋を開けられません。だから、お母さんに開けてもらいます。

はやく大きくなって、いろんな物を自分で開けたいなあ……。あきら君の妄想は膨らみます。

「パカッ」「プシッ」「バリッ」「ガバー」など、物を開ける多様な音が出てくるので、オノマトペの学習にも使えますし、また、「~てあげる」「~てもらう」という文型の予習や復習にも使えます。

日本語学習だけでなく、内容が楽しいです。あきら君の妄想が面白くて、「そんなものまで開けちゃうの?」と子供がびっくりして笑ってくれます。

また、父親が子を思う気持ちも描写されていて、子供が周囲の大人の気持ちに気付くきっかけにもなりそうな素敵な本です。

 

みち

『みち』 三浦太郎 (あすなろ書房) 2022

 

 

坂道、下り道、でこぼこ道、雪道、砂漠道、寄り道、迷い道…。

いろんな道が出てきます。

これだけ繰り返し「道」という言葉が出てくれば、とりあえずその言葉だけは覚えるだろうと思って読み聞かせるのですが……まあ……いろんな子がいます……。

一、二回聞けばすぐ覚える子もいますが……。耳で覚えるのは苦手でも、漢字を覚えるのは得意な子も……。

多くの子と接してきて、本当に、子供それぞれだなあと思います。

 

だれがすんでいるのかな

『だれがすんでいるのかな』 五味太郎 作・絵(偕成社)2001

 

 

野原にぽつんと建つ一軒の家があります。誰がすんでいるのでしょう。

家のいろんな箇所にドアがあり、いろんな動物が出てきて、じきに帰ってきます。

動物の主な名前さえ教えれば、日本語学習を始めたばかりの子にも読んであげられますが、「かえってきた」「もらってきた」などの表現も出てくるので、「~ていきます」「~てきます」の文型を習った後などに読んであげるのも良さそうです。

 

※画像は上記のものしか見つかりませんでした。中古本のようです。ご注意ください。近隣の図書館でお借りになる方も、ご参考にどうぞ。

ドアがあいて…

『ドアがあいて…』 エルンスト・ヤンドゥル 作/ノルマン・ユンゲ 絵/斉藤洋 訳(ほるぷ出版) 1999

 

 

暗い部屋で、五人のおもちゃたちが何かを待っています。みんなどこかしら怪我をしているようです。

うちの一人が、隣の明るい部屋へよろよろと入っていきます。四人になりました。待っている方はさみしいですが、しばらくすると、仲間が隣の部屋から軽い足取りで戻ってきます。

その後、また四人のうちの一人が、隣の明るい部屋に消え、すぐに元気になって戻って来て…。

さて、隣の部屋に入ると、どうしてみんな元気になって戻ってくるんでしょう?

 

「一人、二人、三人、四人……」など、人の数え方を教えた後に読み聞かせるのがお勧めです。

うしろにいるのだあれ

『うしろにいるのだあれ』 accototo ふくだとしお+あきこ 作・絵 (幻冬舎) 2008

 

 

「カメの後ろにいるのは何?」

「ゾウの前にいるのは何?」

「鳥の上にいるのは何?」

など聞いてあげてください。

隠れている動物たちは、体の一部が見えているので、子供たちもすぐ気付いて、競って答えてくれます。

主な動物の名称と、「上」「下」「前」「後ろ」の言葉さえ覚えれば、すぐ楽しめる本です。

 

シリーズもので、「みずべのなかまたち」「のはらのなかまたち」「サバンナのなかまたち」もお勧めです。

 

 

 

 

アンパンマン はじめてのことばえほん にこにこ

アンパンマン はじめてのことばえほん にこにこ』 やなせたかし 作/トムス・エンタテインメント 絵 (フレーベル館)2020

 

 

「すき・きらい」「うれしい・かなしい」「あさい・ふかい」「あたらしい・ふるい」など、基本の形容詞や形容動詞を子供に分かりやすく絵で教えてくれます。

語彙の指導の際は、絵カードのほうが使い勝手が良いと仰る指導員が大多数とは思いますが、市販のものは価格が高いものが多いので、指導する児童数がごく少なく、教材が乏しい環境のときは、こういった本はありがたいと思います。

また、アンパンマンは海外でも知られており(国にもよりますが)、外国人児童も初見から目を輝かせてくれ、飽きずに繰り返し見てくれたりします。

光の旅 かげの旅

『光の旅 かげの旅』 アン・ジョナリス 作・絵/内海まお 訳 (評論社) 1984

 

光の旅 かげの旅

 

ご覧のように、表紙をそのまま見ると明るい空をバックに並ぶ家々。ひっくり返してみると、夜空の下に同じく並ぶ家々です。

明け方の我が家を出発するところから、物語は始まります。家を出て、街へと向かいます。畑を過ぎ、山の中や海辺を通り、街へ着いて、駐車場に車を停め、映画を見て、ビルを上から見下ろし、夜を迎えたところで、本は最終ページです。

あれ、これで終わり?

と思いきや、本をひっくり返して、まだ物語は続きます。街に明かりが灯ります。地上に降りてビルを下から見上げ、レストランで食事して、駐車場から車を出して、高速道路の下や工場街を通り過ぎ、それから……。

 

本をひっくり返すことで、往路で最初に見たページが、復路ではすべて違う光景となって見えてくるので、子供が目を丸くします。

けれども、モノトーンで渋い作風なので、低学年は反応が薄いですね。中学年、高学年向けかもしれません。