子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えていた日本語教師です。読み聞かせにお勧めの絵本を紹介していきます。

おばあにゃん

『おばあにゃん』 ななもりちさこ 作/加藤休ミ 絵 (こぐま社) 2026

 

おばあにゃん

 

おばあちゃん猫の「おばあにゃん」のお話です。おばあにゃんは、他の若い猫と比べて、髭はちりちり、毛もごわんごわん。ジャンプもうまくできません。けれど、年の功といいますか、とても頼りになる素敵な猫なんです。

クレヨン画風の絵柄がとても温かい雰囲気を醸し出しています。

未習の単語、文型も多いですが、予習も兼ねて、初級の終わり辺りに良い本です。

 

★主に出てくる文型・ことば

‐~だから…

‐~けれど…(けど)

‐オノマトペ

‐辞書形

‐V‐ない形+なくちゃ

‐匂い

‐イ形容詞+がる

‐イ形容詞+んです

‐~てもらう

‐意向形

‐~なら(条件)

‐命令形

‐~ちゃった

‐イ形容詞+もの(もん)(理由、不満など)

‐V‐ます形+上がる(上がった)

‐V‐辞書形+と~

‐イ形容詞語幹+くなる(なった)

‐V‐て形+おいで

‐~てくれる(くれた)

 

 

しろくまさんはどこ?

『しろくまさんはどこ?』 ジャン・アレッサンドリーニ 文/ソフィー・クニフケ 絵/野坂悦子 訳 (ほるぷ出版) 2006

 

 

シロクマさんの体があまりに真っ白で、白い氷の上にいても見えません。見えるのは、虹の前を通ったときとか、赤い家の前を通ったときだけです。それで体の一部が分かりますが、シロクマさんの体全体はなかなか見えない。

じれったい。可愛い姿のようだけれど、いつになったら、見えるんだろう?

 

「見える」というフレーズが繰り返されます。

ただ、他にも未習の文型や単語が多く出てくるので、初級の終わりごろに多くの文型の復習・初中級の文型の予習として、読みきかせるのが良さそうです。

 

★主に出てくる文型・ことば

‐(場所)にいる・いない

‐見える・見えない

‐もし~たら

‐~かも(かもしれない)

‐オノマトペ

‐~て行く

‐~ても

‐V‐られる(可能)

‐受身

‐V‐ちゃった

‐形式名詞「の」

‐Vて(継起)

‐~と(条件)

‐~みたい(様態・推量)

‐意向形

‐V‐ます形+出す(動作の開始)

‐~そう(様態)

‐Vている

 

 

ながーい5ふん みじかい5ふん

『ながーい5ふん みじかい5ふん』 リズ・ガートン・スキャンロン、オードリー・ヴァーニック 文/オリヴィエ・タレック 絵/木坂 涼 訳 (光村教育図書) 2019

 

ながーい5ふん みじかい5ふん

 

お父さんがクリーニング屋さんで、5分で用事を済ませようとしていますが、待っている子供にとってみれば、

「5ふんも かかるのー?」

と、うんざりです。

一方、動物園などの大好きな場所で、あと5分とお父さんに言われてしまうと、子供にしてみれば、

「5ふんしか みられないのー?」

とまた逆の不満が出てしまいます。

5分といっても、「長い5分」と「短い5分」がありますよね。その時その時で感じ方が違います。そのシチュエーションが子供目線でいくつも挙げられた絵本です。

 

「3個もある」「3個しかない」などの、「~も…」「~しか…ない」の文型演習を授業でやった後に読んでやると、子供も日常的な使い方や応用が具体的に分かって、より充実した授業になりそうです。

 

★主に出てくる文型・ことば

‐数量+助数詞+も+V

‐数量+助数詞+しか+V‐否定形

どんぐり

『どんぐり』 エドワード・ギブス 作/谷川俊太郎 訳 (光村教育図書) 2014

 

 

黄色い小さいどんぐりが地面に一つ、落ちています。美味しそうで、動物が次々にやってきますが、どんぐりは

「おねがい いまは たべないで」

「いまに もっとおいしく なるから」

と言います。

言われた動物たちは皆諦めて、他の食べ物を探しに行きます。

さて、これからどんぐりはどのくらい大きくなるのでしょう。どんぐりなんて、大して大きくなりそうにないですが、果たして動物たちの期待に応えられるのでしょうか…?

 

「おいしそう」「たべないで(ください)」「おいしくなる」「いってしまった」など、日本語学習初級で習う文型を含むフレーズが繰り返し出てきます。初級の終わりごろに読み聞かせると、よい復習になる本です。

 

★主に出てくる文型・ことば

‐て形(継起)

‐~てくる(~てきた)

‐イ形容詞+そうです(様態)

‐V‐ないでください(V‐ないで)

‐イ形容詞‐く+なります(~くなる)

‐~から(理由)

‐V‐に行きます(移動の目的)

‐オノマトペ

‐V‐て形+しまいました(~てしまった)

ドラゴンはどこ?

『ドラゴンはどこ?』 レオ・ティマース 作/薬袋洋子 訳 (化学同人) 2025

 

 

王様に命じられたドラゴン討伐隊が、夜の闇の中、ドラゴンを探すお話です。討伐隊は森の中でドラゴンらしき大きい影を何度も見かけ、よし、やっつけてやる!と奮起しますが、灯りを向けて見ると、荷車で寝るうさぎの群れだったり、大きな木で寝る鳥の群れだったり、ずっこけるような正体ばかり。ドラゴンは見つかりません。ドラゴンは一体どこにいるんだろう?

 

とても絵が可愛らしいです。

「(ドラゴンは)せなかに トゲトゲが あるらしい」

「びっしり キバが はえているらしい」

などといった台詞が出てくるので、「~らしい」(伝聞)の文型演習をした際に読み聞かせると良い絵本です。「~はず」など、未習の文型もあるとは思いますが、耳に馴染ませておくと、後々の授業で「~はず」など取り扱った際に、子供が「聞いたことある!」と言ってくれ、楽ができます。

 

ほら、ここにいるよ この ちきゅうで くらすためのメモ

『ほら、ここにいるよ この ちきゅうで くらすためのメモ』 オリヴァー・ジェファーズ 作/tupera tupera 訳 (ほるぷ出版) 2019

 

ほら、ここにいるよ

 

作者が、誕生した我が子のために描いた絵本です。

「きみが しっておいたほうがいいと おもったことを メモしてあります」

と始まり、太陽系や地球の地形、天候、人間や様々な動物などについて、子供にも分かりやすく概要が説明されます。

日常会話は充分できるものの、それ以上の語彙はまだ身についていないような高学年の児童の読み聞かせに良いです。特に理科系の知識が得られ、理科用語に慣れ親しめます。

以前、読んでやった英語圏の6年生の児童は、読後、「Why does Saturn have rings?(どうして土星には環があるの)」とチャットgptに尋ねていました。

勉強に子供が疲れたときなどの息抜きに。

なくしもの みつけた?

『なくしもの みつけた?』 ペトル・ホラチェック 作/いわじょう よしひと 訳 (BL出版) 

 

 

朝、うさぎが目を覚まして、

「さんぽに いかなくちゃ」

と身支度を始めます。

けれども、うさぎはお片付けがあまり上手でないのか、お家の中は少々散らかっている様子です。靴下が片方、見つかりません。ベッドの下にもなければ、クローゼットの中にもないし、お風呂の中にもありません。

しょうがないから、うさぎは片っぽ裸足で出かけます。

さて、もう片方の靴下は見付かるかな?

 

かわいいお話です。特にこの文型が頻出するという絵本ではないですが、ストーリーが単純で分かりやすく、絵本全体の文章のレベルも比較的平易で、初級後半あたりの難易度です。

 

‐V‐ない形+なくちゃ

‐V‐ない形+ないと

‐接続詞「でも」(逆説)

‐疑問詞+だろう

‐意向形

‐接続助詞「し」(理由・根拠の列挙)

‐オノマトペ

‐「Nのまま」(状態保持)

‐きっと

‐間接疑問文