子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えていた日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

ほんとかな ほんとかな

『ほんとかな ほんとかな』 多田ヒロシ 作 (1979) こぐま社

 

ほんとかな ほんとかな(新装改訂版)

 

子豚のぶうちゃんと、子ウサギのぴょんちゃんの絵本のシリーズの一冊です。

ぶうちゃんは木登りができるかな?

ぴょんちゃんはサッカーができるかな?

わあ、上手にできる…と思ってページをめくると、くすっと笑えるお茶目な事実が分かります。

言葉が平易で、「できる」「泳げる」「持てる」など、可能形の動詞が繰り返し出てくるので、可能形を習った後にお勧めです。

 

たのしいアイスクリーム屋さん

たのしいアイスクリーム屋さん

 

 

番外編の、100円グッズの紹介です。

画像はセリアで購入した、アイスクリーム屋さんごっこができるおもちゃです。

右上の青い器具はディッシャーです。アイスクリームを掴んで、カップやコーンに載せることができます。メニューを見て、お客さんとして注文したり、店員さんとして注文に応えたりできます。

算数セットに入っている、お金のおもちゃも併用したりすると、さらに子供が喜び、買い物の際のやり取りや値段の言い方なども学習させることができます。

日本語の授業前のウォーミングアップや、授業中いまいち子供が集中できていないときや、時間が余ったときなど、かたかなを勉強中の子に。

いっしょにごはん

『いっしょにごはん』 スギヤマカナヨ (くもん出版)2010

 

 

表紙にも「向かい合って読む絵本」と書いている通り、子供一人と大人一人が向かい合って、本を間に置いて読むスタイルの絵本です。

本を開くと、子ども側に子供用の食事、読み手の大人側に大人側の食事が描かれており、一緒に食卓を共にするような臨場感が味わえ、低学年児童が喜びます。

「ちいさい おにぎり むしゃ むしゃ」とか「ひとくち どうぞ」など、表現は非常に平易で、それでいて未習の語彙や文法をすぐに察して真似することができるような文章です。

「たべよう」「のもう」「こぼしちゃった」「たべちゃった」といった表現も出てくるので、文法の予習にも。

 

いいもの みーつけた

『いいもの みーつけた』 レオニード・ゴア 文・絵/藤原宏之 訳 (新日本出版社) 2012

 

 

森に落ちている本を動物たちが次々に見付け、これはなんだろう?と頭をひねり、頓珍漢な使い方をするお話です。おうちにしたり、帽子にしたり…。

「えー」

「ちがうよー」

と子供が笑ってくれます。

低学年の子にとてもウケますが、もちろん、日本語学習のために中・高学年に読んでやっても支障はありません。充分得られるもののある絵本です。

モーっていったの だあれ?

『モーっていったの だあれ?』 ハリエット・ツィーフェルト 文/シムズ・ターバック 絵/はるみこうへい 訳 (童話館出版) 1998

 

 

以前、『うしはどこでも「モ~!」』という本を紹介しましたが、こちらも動物の鳴き声が題材なので、ちょっと似ているかもしれません。

おんどりや豚や犬やロバなど、さまざまな動物が出てきて、それぞれの動物の鳴き声を日本語ではどのように表現するか学習できます。

なるべく本物に近づけた声音で鳴き声を読んでやると、子供が喜びます。

また、「あなたの国ではどう? 犬はどんな風に鳴く?」と尋ねると、子供もつられて楽し気に表現してくれ、会話も弾みます。

エスタレーターとエレベーター

エスカレーターとエレベーター』 小輪瀬護安 さく (福音館書店) 2016

 

 

さんたろうくんとお母さんが、デパートに来て、お買い物をするお話です。

エスカレーターとエレベーターの乗り方や、その仕組みを分かりやすく教えてくれます。

初中級レベルでは、未習の文法や単語も出てきますが、指で絵の箇所を指し示してやれば充分に理解は可能です。

たいがいの小学生は、幼いながらエスカレーターやエレベーターの乗り方は大体知っていると思いますが、仕組みについてはまったく知らない場合が多いので、興味津々で聞いてくれると思います。

メリーさんのひつじ

『メリーさんのひつじ』 ウィル・モーゼス 作/こうのすゆきこ 訳 (福音館書店) 2014

 

 

童謡「メリーさんの羊」は、日本でも有名ですよね。ただ、この歌が実話であることは日本ではあまり知られていないかもしれません。

この絵本は、アメリカの片田舎で育った女の子メリーと、メリーの家に生まれた子羊の、本当にあった物語です。いつも一緒のメリーと羊でしたが、やがてメリーが学校に通う年齢になります。メリーが学校へ行こうとして家を出ると、羊はメリーのあとをどうしてもついてくる。仕方なくメリーは羊を学校まで連れていき、教室の机の下に隠しますが、とうとう皆にばれてしまい、大騒ぎ……。

という内容です。

当時のアメリカの牧歌的な田舎町の雰囲気が丹念に描かれており、アメリカに興味のある子や、ルーツのある子には興味深いかもしれません。

以前、アメリカ出身・日本育ちの男の子に日本語の授業をする機会があり、読んでやりました。

文章はやや難しく、日本語中級レベルから読み聞かせ可能です。