子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

おうさまがかえってくる100びょうまえ!

おうさまがかえってくる100びょうまえ!』 柏原佳世子 作 (えほんの社) 2021

 

おうさまがかえってくる100びょうまえ!

 

日本語では、二けたの数字を言うときは、十の位を先に言って、一の位を言いますよね。しかし、母語が逆なのか、三か月たっても、「60」を「じゅうろく」などと言い間違い続ける子がいたので、その子のために先日、この本を読んでやりました。

数え方などとうにマスターしている他の子達も同席していましたが、内容が面白いので皆喜んでくれました。

王様が留守の間、だらだらと怠けて遊んでいた家来たちが、予定より早く王様が帰ってきたことに慌てて、大急ぎで王様の部屋を片付けるお話です。

本の大半のページは、数字を読むだけですが、王様が帰ってくるまでの展開は臨場感があり、子供にとってハラハラドキドキです。特に唱和を促したわけではないのですが、子供達も一緒に100まで数えてくれました。

本を読み終えて、ちょうど授業が終わる時間だったので、「では授業を終わりますので号令を…」と日直の子に私が頼むと、日直の子が「はい!」といつも以上にピリッと引き締まった大きな声で背筋を伸ばし、王様を前にした家来のように号令をかけてくれました。

すぐ感化されるのがいかにも子供で、可愛かったです。