子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

やさいのおなか

『やさいのおなか』 きうちかつ 作・絵 (福音館書店) 1997

 

 

以前、『くだものなんだ』を紹介しましたが、同作者さんのご著書です。

表紙はお分かりのとおり、カボチャの断面図です。

本を開くと、同様に、何かの野菜の断面図が白黒で現われ、「これ、なあに?」と問いかけてきます。次のページをめくると答えが分かるという、問いかけ→謎解明のパターンが繰り返される絵本です。

サツマイモやニンジンなど、一見してちょっと何の野菜だか分からない断面図も出てきます。

また、ネギやタケノコ、レンコンなどは断面図で何の野菜かは分かっても、初中級の子でも、日本名が口から出てこなかったりする野菜です。

最後のページに、この絵本で出てくる野菜の絵が全て並んでいるので、読み聞かせる前に、そちらを先に見せて、名前を覚えさせるといいですね。子供の日本語のレベルや様子に配慮しながら、二、三度、野菜の名前を全て復唱させた後、最初のページから読み聞かせるのが得策です。

「はい、じゃあ覚えてるかな? これ、なあに?」

とレンコンの断面図を見せて訊くと、

「えーと、あれ……。分かるけど……名前忘れた……。あれだよ、あれ……」

と、子供が懸命に名前を思い出そうとしてくれます。

半分テスト、半分クイズのようなノリで楽しく語彙の学習ができます。

キャベツやピーマンなど、断面図が分かりやすく、かつ日本名もメジャーな野菜も適度に出てくるので、子供が「ぜんぜんわからない!」とストレスを溜めることもないです。