子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

ねずみくんとブランコ

「ねずみくんとブランコ」 なかえよしを 作/上野紀子 絵 (ポプラ社) 1983

 

 

先日、来日半年ほどの外国人児童S1、S2、S3が休み時間に、「このゲームできる?」「できる」などと、話していました。

日本語の授業で「できる/できない」はまだ教えていませんでしたが、多くの日本人の先生や級友と接する中で、自然に覚えたのでしょう。

「できる」が分かるなら、動詞の可能形も楽に教えられます。それで後日、授業で絵カードを見せながら、児童S1、S2、S3に尋ねてみました。

T「なわとび、できます?」

S1「できます!」

S2「ちょっとできる!」

T「料理は? できます?」

S2「卵できる!」

T「えー。卵料理ができますか。すごいですね。じゃあ、ピアノは? できます?」

S1「できません!」

S3「ちょっとできます!」

T「そうですか。S3さんはちょっとピアノが弾けますか。すごいですね」

S3「うん。ちょっと弾けます!」(←「先生、『弾きます』じゃないの?」とか訊くこともなく、すぐ真似してくれる)

T「へー。ピアノが弾けますかー」(←しつこく繰り返す)

同じ要領で、

「泳げます/泳げません」「自転車に乗れます/乗れません」等々言わせて、その後、動詞のます形(i-masu)から、可能形(e-masu形)への変化のしくみを教えました。

皆、一年生で、すぐの発話は厳しい子もいましたが、内容は理解してくれました。

それからしばらく可能形の会話練習をして、授業の最後にこの本を読んでやりました。偶然ですが、「乗れます」という表現が多く出てくる本で、ラッキーでした。

 

象「僕もブランコに乗ります。乗りたい」

小鳥「ダメダメ、小さいブランコです。あなたは重いです。乗れません」

ねずみ「僕もブランコに乗りたい」

小鳥「はい、あなたは軽いから、乗れます」

など、本の台詞を少し簡単な言葉に変えて読みました。