子どもの日本語教育におすすめの絵本を紹介するブログ

外国人散在地域で外国人児童に日本語を教えている日本語教師です。私の備忘録も兼ねていますが、プロアマ問わず同じ活動をされている方と情報交換もできたらと思います。

りんごかもしれない

『りんごかもしれない』 ヨシタケシンスケ 作 (ブロンズ新社) 2013

 

表紙:りんごかもしれない

 

自宅のテーブルに置いてあったりんごを見て、

「これは、りんごに見えるけど、大きなさくらんぼかもしれない」

とか、

「ゼリーかもしれない」

とか、

「僕が好きかもしれない」

とか、男の子がシュールな妄想を繰り広げる本です。

 

私は、例文をその場で作るのがたいへん苦手なので、「~かもしれない」という表現を教えるときは、この本に頼ります。

「~かもしれない」で、私がぱっと思いつく例文は、「明日は雨かもしれない」ぐらいですね。

なので、曇りの日にこの本を脇に置いて、子供に尋ねます。

T「今日の天気は?」

S「曇り」 

T「そうですね。明日は? 明日は雨かもしれません」

S「雨? 明日?」

T「わかりません。雨? 雨じゃない? わかりません。でも、明日は雨、かもしれません」

S「……」

T「わかりません。わからないとき、使います。『~かもしれません』」

とか言えば、こちらの言わんとすることを大体分かってくれます。

それで、この本を見せて、

「りんご? でも、さくらんぼかもしれない」

「りんごには、弟やお兄さんがいるかもしれない」

「りんごは、どこかに帰るかもしれない」

とかやります。

主人公の無茶な妄想に、子供は

「ええ~」

と呆れながらも、飽きずに最後まで楽しんで聞いてくれます。